第31回精華女子高等学校吹奏楽部定期演奏会

第31回精華女子高等学校吹奏楽定期演奏会を聞きに、福岡サンパレスに行ってきました。
今回は、マエストロ藤重佳久氏、最後の精華での定期演奏会になります。
というわけで今回初めて、4ステージ全て聞いてきました。というのも、この年度の自由曲「華麗なる舞曲」は4回とも演奏するわけですが、4回それぞれのステージで演奏曲目が異なる部分があったからです。その4曲とは、「ルイ・ブルジョワの讃歌による変奏曲」「フェスティバル・バリエーションズ」「宇宙の音楽」そして、委嘱作品「ヴィクトーリア」。
最後の最後まで攻めの姿勢を崩さないアプローチに脱帽です。
聞くところによると、この選曲は、昨年の冬休みに案出ししたとの事。「華麗なる舞曲」と「ヴィクトーリア」は別にして、他の3曲は約1カ月でゼロの状態から仕上げて来たわけですね。
また冒頭のファンファーレやマーチもステージ毎に曲を変えていました。そういう気分だったのでしょうか(笑)。しかし、直管がストレートに向かってくるファンファーレとマーチは、どの組み合わせも精華の世界観そのもの。オープニングをグイッと盛り上げます。

初日のファーストステージは、フェスティバル・バリエーションズ華麗なる舞曲の組み合わせでした。プログラムとは違い、2曲目に早くも華麗なる舞曲を披露。第一部の最後がフェスティバル・バリエーションズでしたが、楽曲の生活からして、やはり華麗なる舞曲をラストにした方が、客席は盛り上がるのかな、という印象でした。
そして初日のセカンドステージは、オープニングのマーチに続いて、ヴィクトーリア。この曲は委嘱作品で、去年の夏、かなり練習していたので、音楽的な仕上がりもハイレベル。そして第一部最後に演奏した華麗なる舞曲は、〆に相応しい圧巻の演奏で、当日客席にいらしていた天野正道氏も絶賛していました。コンクール時の数倍も躍動感に溢れた名演だったと思います。
さて、2日目は、時折雨がぱらつく天気でしたが、朝早くからサンパレス前には多くのお客さんが列を作りました。ファーストステージは、ルイ・ブルジョワと、華麗なる舞曲の組み合わせ。ルイ・ブルジョワは早くから全体の合奏は完成されていたようですが、楽曲のきらびやかな世界観をしっかりと再現する演奏で、客席の期待感をヒートアップさせるのに成功していました。前半のコラールも重厚で、さすがのサウンドの安定感でした。そして第一部最後の華麗なる舞曲は、やや細かいブレはあったものの、昨日の演奏に肉薄する名演。また、ここまで3回とも全てのソロ楽器がほぼ完璧な演奏を保持し続けて来たのも、アッパレです。
さ、そして最終公演は、宇宙の音楽華麗なる舞曲の組み合わせ。仕上がりが遅れていると聞いていた宇宙の音楽でしたが、ビッグバンからのアグレッシブな音楽の展開はさすがのもの。そしてなんと言っても圧巻だったのは、時間を気にしなくていいからこそのハルモニアの重厚なハーモニーによる音楽の美の連鎖。このハルモニアは演奏する側も聞く側も、音の美の到達点を甘受する、極上の空間になりました。終盤のアンサンブルもさすがの完成度です。そしてなんと言っても、4回聞き続けて良かったと思えたのが、最高の到達点を迎えた華麗なる舞曲。マエストロ藤重佳久の最後の精華における華麗なる舞曲という思いと、3年生最後の華麗なる舞曲という「気」が濃縮されてビッグバンのごとく爆発した華麗なる舞曲は圧巻という言葉を超える「気」のパワーを感じさせるものでした。4回のステージ全てで完璧なソロを聞かせたピッコロ・トランペットを始め、全ての奏者が、それまでの音楽生活の中での最高のパフォーマンスをなし遂げた達成感を味わった事でしょう。まさに後世に語り継ぎたい残して行きたい名演の誕生、観客で聞いた幸せを演奏会が終わった今も噛みしめています。
また、2日目の最終ステージは、観客の声援も一段と活気に溢れ、奏者たちのボルテージも鰻登りとなったと思います。観客の「気」というのも、演奏会では大切な要素になるわけです。

さて、第31回精華女子高等学校吹奏楽定期演奏会は、この第一部の後、第二部では、エリック宮城氏等を迎えたポップス・ステージと、天野正道氏書き下ろしのオリジナル・ミュージカルが上演されました。そして第3部は、お馴染みマーチングやカラーガードのステージ。そして終演後には、この春に精華を去る、マエストロ藤重佳久氏の挨拶と、最後の「チェリオ・マーチ」の演奏が行われました。
ファイナルステージでは、終演後に「ありがとう〜〜〜〜!」の声が客席からも飛び交っていました。
さ、こうして精華女子高等学校吹奏楽部は4月から、また新たな時代を迎える事になります。
次なる活動の行方も、注目して行きたいと思います。