東京正人吹奏楽団

blueoceans122006-06-18

この吹奏楽団は、ここ数年創価グロリアと共に、東京代表を取り合っている・・・・少々ニュアンスは違うが、そういう楽団。
東京都内にありながら、実は演奏会を聞きに行くのは、今回が初めて。
プログラムは非常にシンプルで、好感が持てた。
オープニングはいきなり、1974年のコンクール課題曲、高度な技術への指標。
クラシックやオリジナル作品を非常にうまく吹きこなす楽団でも、こうしたポップテイストの入ったものについてはリズム感がかなり怪しい楽団が多い中で、この楽団の指標は非常に躍動的で、的確なリズム感を感じさせてくれた。若干4ビートの部分が律儀だったのが惜しかったが、冒頭からワクワクして気分になったのは事実。
続いて、今年のコンクール課題曲。「架空の・・・・」と「海」を演奏したが、本番ではどちらを演奏するのだろう。まあ、どちらを選ぶにしても、これからかなり研鑽を積まないと、激戦の東京大会は・・・・という感じではあった。
しかし、サウンドのバランスは素晴らしく、やはり東京地区でトップクラスを維持しつづけるのはうなずける。
プログラムの最後はウィンドブリッツ。非常に気合の入った演奏だった。まだまだアンサンブル等に問題はあるが、今年はこの曲で行くのだろうか・・・・と思わせる完成度を見せていた。

さて、第二部のスタートはアルメニアンダンス・パート2。日本の吹奏楽界とも非常に深い関係にあったアルフレッド・リード氏の追悼ということで、去年から今年にかけて、日本中至る所で聞かれた楽曲。冒頭のファンファーレからバランスの良いサウンドが素晴らしく、楽曲そのものも、おそらく団体全員がいつかどこかで演奏していただろうと思われ、思い入れが空振りにならない好演だった。
続いてはこちらも追悼となった、伊福部昭シンフォニア・タプカーラ。伊福部作品と言えば、東京正人といわれるほど、氏の作品を演奏して来た吹奏楽団は、他にはそうはないだろうと思われる。もちろん、演奏も自信にあふれるものだったと思う。

さて、アンコールの一発目は、ディスコキッド。冒頭の指標と共に人気の高いポップス課題曲。おそらく、この曲は何度も演奏会で演奏しているのだろう、ところどころにアレンジを施したり、書き加えたり、アドリブを自在に行ったりと、心憎い演奏だった。そして締めくくりはサンダーバード。これも十八番だと思われる。ここでもリズム感やサウンドのダイナミズが素晴らしい。

全体として、無理な演出がなく、今できるものをいい形で聞かせよう、そういう姿勢が見られる演奏会だったと思う。これまで行かなかったことを少々後悔。これからは、時間を見つけて足を運びたいと思う。会場は練馬文化センターだったが、非常にきれいでサウンドも素晴らしく、1000円というリーズナブルな料金でこうした演奏に出会えるのは非常に喜ばしい。

ところで、この東京正人吹奏楽団という名前は、指揮者の鈴木正人氏の名前から来ているらしい。この指揮者の人の良さそうな(指導は厳しいのかも知れないが)笑顔も、音楽にしっかりと反映されていた。