吹奏楽コンクール鹿児島県大会中学校の部

blueoceans122006-07-29

仕事の都合で、今日の午後からやっと鹿児島県大会を聞くことができた。その中から、印象に残った団体を。

まずは、去年までの代表常連校、重富中学校。前任者とは傾向の異なる重量感のあるサウンドを模索しているようだが、まだそのサウンドの形成期にいる感じか。また、アンサンブルの精度など、音楽的な緻密さも少々後退した感じで、早くあらたな方向に舵取りをしてあげることが大切だろう。時折聞こえてくるハッとするようなサウンドが全般的に聞こえるようになれば復活の日は近いと思う。

続いて宮之城中学校。先の大雨で被害が心配された学校のひとつだ。課題曲自由曲ともに、安定していたが、その分音楽的な抑揚にかけていたのが残念。基礎はある程度まで出来上がっているので、音楽的な組み立てにしっかりと取り組んでいけば、またワンランクアップした演奏ができるのではと思う。

そして、小宿中学校。この学校は、クラリネットを中心に、個々の楽器の演奏能力が非常に高い。音楽の輪郭も非常にしっかり聞こえてくる。が、その分バンドとしてのトータルなサウンドになっていないのが残念。個々の能力の高い生徒を導くのは大変な作業だと思うが、音楽のコンクールは品評会ではないので、感心から感動を与えるバンドとしてのサウンド作りが望まれるところだ。しかし、個々の奏者の能力には大きな拍手を送りたい。驚きました。

そして、吉野中学校。課題曲の冒頭からそれまでの団体のサウンドを大きく引き離していた。ひとつひとつの楽器のサウンドを丁寧に作りあげ、それを時間をかけて積み重ねて一つの大きなサウンド終結した感じだ。ソロ楽器の細かい傷やちょっとしたアンサンブルの乱れがあっても、瞬時に立て直せるのは、その積み重ねの賜物だろう。50人でこれだけクリアに音楽が再現されているのは非常に素晴らしい。ただ、随所に見られたアンサンブルの乱れと、課題曲自由曲それぞれの終結部における音楽的結論の提示にやや弱さがあったのも事実。次のステップまでにこれらをクリアして全国大会に返り咲きして欲しいものだ。

そして、去年の全国金賞校、国分中学校。課題曲冒頭の安定した入り、音楽の積み重ね、そして終結部の安定したエンディング。去年の全国経験の自信が伺える演奏だった。自由曲は、記譜されている音を着実に再現していたが、全体にサウンドに靄がかかったような部分があり、音楽の輪郭がぼやける箇所がいくつか見られたのが残念。このあたりの修正がなされれば、2年連続の九州代表も射程距離に入るだろう。

そして最後に、桜丘中学校。ここの指揮者の折田先生はかつては、九州大会の常連であり、最近は管楽コンテストで全国の舞台に登場するベテラン。さ、課題曲は、国分中に比べると冒頭や終結部のサウンドに明らかに安定感がないのが目立ってしまっていた。また、木管金管、あるいは管楽器と打楽器のバランスが悪く、音楽的な整理がついていなかったのが残念。自由曲はこの指揮者の十八番だと思うが、きっちりアンサンブルが組み立てられている部分と、破綻をきたしてしまう部分がはっきりと分かれていたのが残念だった。しかし、全体のサウンドや音楽的な緊張感はさすがで、今後の成長が楽しみである。

2日間を通して、鹿児島県A代表に選ばれたのは、プログラム順に、鹿児島市立谷山中学校鹿児島市立吉野中学校、そして、霧島市立国分中学校
奇しくも、すべて全国大会出場経験のある学校となった。この3校には、九州大会で大暴れしてきていただきたいものだ。そして、今回聞けなかった谷山中学校の演奏を聴けるのも、楽しみだ。

本日の金賞受賞校
伊集院北中、川内北中、重富中、宮之城中、小宿中、城西中、星峯中、吉野中、国分中、桜丘中
本日の銀賞受賞校
鹿屋中、北指宿中、垂水中、国分南中、伊敷中、紫原中、川辺中、坂元中、榕城中、金久中、伊集院中、第一鹿屋中、串木野中、松山中
本日の銅賞受賞校
宇都中、武岡中、祁答院中、菱刈中
前日開催の金賞校
伊敷台中、川内中央中、末吉中、天保山中、和田中、谷山中、加治木中
銀賞校
志布志中、中種子中、喜入中、加世田中、南中、出水中、皇徳寺中、鹿屋東中、松元中、鴨池中、大崎中、米ノ津中、隼人中、鹿児島大学教育学部附属中、超佐中、東市来中、知名中
銅賞校
武中、串良中、串木野西中