吹奏楽コンクール東京都一般の部・予選〜&浅倉大介ピアノコンサート

blueoceans122006-08-06

この週末は、吹奏楽コンクール島根県大会と福岡県大会など、聞きに行きたいイベントがめじろ押しだったのだが、仕事の都合で、東京にいなければならなかったので、土日の昼間は、仕事の合間を見て、足立区西新井文化センターに東京都の一般の部予選を聞きに行った。
その中で、印象に残った団体をいくつか。

まずは土曜日トップバッターのリヴィエール吹奏楽。ここは、指揮者の佐川聖二氏がグロリアを去って振ることになったバンド。というわけで期待していたのだが、課題曲の冒頭から、迷いの見える演奏で、まずサウンドがしっかりと固まっていないのと、指揮者との息もまだまだ合っていない感じで、現在発展途上中という演奏だった。課題曲は最後まで建て直すことはできなかったが、自由曲では、このバンドの良さが随所で垣間見られたりはしたものの、やはりこれから感は否めず、来年に期待・・・・という評価を持った。しかし、朝一番とはいえ、銀賞は少々酷かなという気がしたのも確か。

続いて、土曜日の終盤、都大会プチ常連のミュゼ・ダール吹奏楽。課題曲の冒頭から、かなり満腹感のあるボリュームでスタート。ここからどこまで音量があがっていくのかと心配したが、その心配通り、課題曲の終盤、そして自由曲へと移行すればするほどに、やがてその音量は許容範囲を超え、音楽の輪郭さえも把握できないほどに増幅してしまった。指揮者の音楽性も奏者の技量もあるバンドなのに・・・・まあ、結果よりは充実感重視ということなのだろう。というわけで、12分間、一度もホッとする瞬間はなく、終焉を迎えてしまった感じだった。ただ、いわゆる一般的な音楽としての演奏を審査するというコンクールでは、ここまでやってしまうと、審査員には嫌われてしまうのだが、個人的には、いろんなバンドがいていいのではと思う部分もあり、このような超絶技巧的音量爆裂バンドも自分的には結構好きだったりするわけで・・・・

さて、2日目は、仕事の都合で、2時すぎに到着。
まずは、指揮者が交代した創価グロリア吹奏楽。課題曲の冒頭からツボを心得た音量とサウンドの妙が心地よい。が、例年には見られなかった細かいほころびが見えてしまったのも事実で、それはこれから新しい指揮者と共に少しずつ修正して行くのだろう。自由曲は、かなり余裕を持って音楽と取り組んでいる感じではあったが、音楽が持つ場面場面の演出までにはまだ至らず、一通りさらって来ました的な感じで終わってしまったのが残念。まあそれでもトップが通過してしまうのが、このバンドの力量なのだろうが、都大会では祭りの様々なシーンを想起させてくれるような音楽的な演出を楽しみにしていたい。

続いて、東京正人吹奏楽。このバンドは先日定期演奏会に行ったが、課題曲は、冒頭ややアンサンブルの乱れが見えたものの、今回はペットの主題もしっかりと提示、サウンドのバランスも非常に良く、昨年の東京代表らしい、非常に骨組みのしっかりとした音楽という印象だった。が、自由曲はややオーバーフロー気味の部分もあり、しなやかさに欠けたのが残念。バンドとしてのトーンの種類がもう少し増えると、表現力も大幅にアップすると思うが、そのあたりが、このバンドにこれから求められるところかも知れない。

そして、一般の部最後に登場した、マシュアールウインドオーケストラ。指揮者は東海大学附属高輪台高校の先生だったが、メンバーは卒業生が関係しているのだろうか。課題曲の冒頭はベースラインが途切れるなど、ヒヤリとしたが、中盤以降は盛り返し、自由曲のガイーヌでは伸び伸びと音楽を演じているプレイヤー達がまぶしかった。ただ、一般の部の中にあっては、やはりメンバーが若いからか、学生バンドの延長的なサウンドのために、一般ならではの深みのある音楽にまでは達していなかったのが残念。しかし、新たな勢力として今後期待されるバンドのひとつだろう。

というわけで、東京都大会に駒を進めたのは、得点順に以下の通り。

創価グロリア吹奏楽交響詩「ローマの祭」より (O.レスピーギ/磯崎敦博)
東京正人吹奏楽 1 ウインド・ブリッツ (D.ブージョア
葛飾吹奏楽 1 「稜線の風」〜北アルプスの印象 (八木澤教司)
Harmony of the Winds 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」より (Z.コダーイ/G.バイナム)
マシュアールウインドオーケストラバレエ音楽「ガイーヌ」より (A.ハチャトゥリャン/林紀人)
武蔵村山ウインドアンサンブル 2 序曲「ピーター・ルー」 (M.アーノルド/近藤久敦)

さ、一般の部が終了して職場の部も・・・・と思いきや、この後は5時半から、仕事で、東京フォーラムCホールでの浅倉大介ピアノコンサートに行かなければならず、30分で西新井から有楽町まで移動。
浅倉大介といえば、accessなど、どちらかというと電子音のテクノ・トランス・ハウス的なイメージが強いが、ここ最近の彼はクラシックやオペラにも造詣が深く、今回のコンサートはクラシック・ピアノとアイリッシュフィドル、そしてソプラノ歌手をゲストに迎えて、ピアノ1台で音楽を表現するという趣向のもの。
プログラムはここ2〜3年の間に書かれ、CD化された音源のものを、クラシック・ピアノのためにアレンジして披露するという感じだった。ピアノ1台でどうなるのだろうと思いきや、非常にメリハリのある、いわゆる電子音バリバリのライブ以上にエキサイティングなものだった。
最後は、トランス・オペラ風な盛り上がりて終了したが、どんなジャンルにも入らない、新たな音楽の誕生に立ち会った幸福感を大いに味わった。
いやはや、移動は大変だったが、やはり音楽のハシゴは楽しい。