2006年吹奏楽コンクール高校の部総括

blueoceans122007-02-27

先日の中学に引き続いて、今日は高校の部について。
普門館で高校の部を聞くと、このホールが非常にミスが目立ちやすいのがわかる。
激戦の高校の部において、金賞を確実にするには、まずノーミスで行くのが大前提となる。
勿論ミスがあっても、その後の演奏で金賞まで持っていく事は出来るが、あくまでも、確実にするには、という事である。
そして普門館は、1階と2階の響きが恐ろしいほど異なる。ステージ上で柔らかなサウンドであれば、2階席にとどくまでにぼや〜っとしたサウンドになってしまう。であるから、よりエッジの鋭いサウンドを持つ団体の方が、限りなく金賞に近づきやすい、というわけだ。
また、1階で感じるサウンドのステレオ感も、2階席に届くまでには限りなくモノラルになって行く。という事は、ステージ上で、いかにステレオ感のあるサウンドになるような配置にするかという事も大切である。そうすれば、2階席でも適度に音が分離して、粒断ちのいいサウンドになるだろう。勿論、ステージ上でモノラル状態にして、そのまま直球で2階席に飛ばす、という方法もある。パーカッションが最上段に並ぶバンドなんかは、大体そういう状態にあると言っていいだろう。しかし、その場合は、非常に気を配ったサウンドのバランスが求められる。
賞の結果を見てみると、だいたいこうした点を踏まえた団体が金賞を取り、音楽がやや破綻しても、エッジの鋭いサウンドを持っているバンドは、1階席の聴衆の判断よりも、より上の評価をもらっていたようだ。
勿論、全く異なる視点や、自分自身の偏った好みだけで判断する困った審査員も時折見かけられるが、上下カットの審査であるわけで、指導者は傾向と対策をしっかりと見極める事は、大事だろう。
ただ、中学高校の部を通して感じた事だが、学校の吹奏楽部がどういう事を目標にすればいいのか、そうした指針を審査員に的確に伝えるという事は必要最小限やって欲しいものだ。

さて、今回のコンクールで個人的に印象に残ったのは、指揮者有終の美となった福岡城東高校のパルセイションとエルフゲンの叫び、色彩豊かなトゥーランドットで聴衆を圧倒した埼玉栄、そして大トリを揺るぎないアンサンブルで閉めた磐城高校の交響曲
あくまでも個人的にだが、2006年の高校の部を代表する名演を残してくれたと思う。

演奏するという技術だけでなく、それぞれの大会のホールとどう付き合うかまでも視野に入れないと、最早頂点を目指せなくなった高校の部。2007年はマーチの年。それぞれの学校の自由曲への取り組みに非常に期待したい。