2007年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲

今日からしばらく、今年の課題曲のことをあれこれ書いていこうと思う。
技術的なことは、クリニックや吹奏楽雑誌などに書かれているから、ここでは情緒的な部分に絞って書いてみたいと思う。

まずは、一番「ピッコロマーチ」。
なぜ、ピッコロマーチなのか。全体を通して激しくピッコロが活躍するわけではない。
おそらく仮タイトルがそのまま残ったのでは・・・・と推測したが、スコアに作者の弁が載っていた。本来の、小さなとか、可愛らしいと意味なんだそうだ。

曲のスタートは、非常にオーソドックスなイントロであるが、同じ音がつならるよに見えて、実は一つ一つの音に異なった表情が求められている。極端にではなく微妙に。イントロにも旋律があることお忘れなく。
第一主題は、音楽のフレーズ作りの基本がなされているかどうかを審査するのに最適な音の配列で、旋律担当者の腕の見せ所だが、随所でベースと微妙に絡む部分のセンスが求められる。
リピート部分で、ピッコロが登場するが、タイトルに惑わされずに、自然に絡むのが個人的に好きである。
そして、3連符。
ここはそれまでの刻みとの違いを明確に出さなくては、音楽が締まらない。
そして、何気に戻る部分はさりげない高揚感を持ちたいものだ。
また、グロッケンとシロフォンは音楽にエッジを持たせる重要な役割。つかず離れずの良好な関係を管楽器と保ってもらいたい。

トリオに入る直前のティンパニは、絶妙な音量バランスで、上品に。
トリオは、タカタッタッという刻みの正確さが最重要。決してあせって前にめりにならないように。
このタカタッタッは、その後、擬似スペイン的なカスタネットに引き継がれる。
そこまでがひとつの塊だと考えれば世界観を作りやすいだろう。
トリオのトランペットは、同じフレーズがミュージカル「キャッツ」にあったね。キャッツのあの場面は、希望に向かう場面。この曲のペットのフレーズも、もちろん希望に満ち溢れたものでなければならない。
そして、前半の音色と後半のレガートになった時の音色の変化を的確に。
このペットの流れは、クライマックスを呼び起こす重要な起点と後になるので。

スペイン風になる直前はコード感がめまぐるしく変化するので、正確なピッチで和音を性格に再現しなければならない。この曲の困難なな部分のひとつだろう。

そして、クライマックスとなる終盤は、スネアも欲求不満を爆発させたくなるが、抑えた高揚感で演奏するのが大切。そして、最後まで旋律を大事に大事に。
ティンパニは、バンドのそこの部分から全体を支える役割。
またバスドラムは、ボンボンと鳴るチューバのサウンドをコンコンと鳴らす補助役でもある。デモこれはなかなか難しい。なぜなら、位置的に正反対にあるから。でも、それができたとき、このマーチは至福の表情を見せることになるのである。