2007全日本吹奏楽コンクール採点表公表

毎年この時期に、前年の秋に行われたコンクールの採点表が発表になる。
そして毎年、音楽関係者が審査員になっていながら、ひとりひとりの考え方、捉え方、感じ方がこんなにも違うものなのか・・・・と、驚愕してしまうのである。
まあ確かに、ショパン・コンクールなんかでも、審査員がまっぷたつに割れてそれぞれのいち押し奏者を推薦し合い、時には決裂・・・・なんてこともあったりするわけで、まさに音楽に正解はない・・・・ということなのだろう。

そんな中でも、審査員のほぼ全員がおしなべて高い評価を与えた、酒井根中学校、埼玉栄高等学校神奈川大学ヤマハ吹奏楽団浜松、そして大津シンフォニックは、それぞれの部門で一位を獲得している。
勿論、私が会場で感じたのと同じであるが、これは、おそらく会場にいた8割方のオーディエンスが、普通に感じた結果であろう。
面白いのは(当事者の方々、ごめんなさい)それ以外のバンドの評価で、たとえば生駒中や伊奈学園のように、これまでの吹奏楽サウンドとは違ったソフトな耳当たりの良いサウンドを持つバンドの評価は、まっぷたつに分かれていたり、課題曲自由曲ひっくるめてひとつの評価であると考えたのか面倒臭かったのか、演奏当事者が見れば「ふざけんな」的な評価を書いている人まで、様々。

また、課題曲の評価が、やや当日感じたものと違っているのも面白かった。
例えば、「行進曲」と、難度の高い自由曲を比べると、やはり「行進曲」の方が優劣の差が如実に出るからなのか、全体的に課題曲の技術点が総じて低い評価になっている。
私が完璧に近いと感じた行進曲を演奏した埼玉栄や秋田吹奏楽団、大津シンフォニックなども、課題曲の評価が自由曲に比べるとやや低く抑えられている。
行進曲というのは、いわゆる吹奏楽的「マーチ」と捉えるのか、あるいは「コンサートマーチ」として捉えるのか、でも評価は違ってくるだろうし、打楽器のバランスも、やや強いバンドを高評価する人、反対の方を高評価する人、様々であり、風邪に特効薬がないように、コンクールにも即効薬はあっても、特効薬は存在しないのかも知れない。

要は、信じた音楽をどこまで追求して来たか・・・・ということになるのだろう。

逆にこうやって見てくると、一時期、音楽評論家が審査員に入ったりしてブーイングがあったりした事もあったりしたが、ある意味そういう音楽評論家も含め、例えば、海外の音楽家やクラシックの著名エンジニアなど、様々なジャンルの人に評価してもらう・・・・というのも、一度テストケース(既存の審査員の集計と同時進行で予行的に)としてやってみて、結果の違いを見てみるのも面白いのではないだろうか。
それとも、未だに日本では音大教授やオケのプロ奏者を揃えた方が、箔がつく・・・・のだろうか。
採点表を見ながら、いろんなことを考えてしまったのだが、ま、余計なお世話ですかね。