東京正人吹奏楽団定期演奏会

blueoceans122008-06-22

数ある日本の吹奏楽団の定期演奏会の中でも、最も足を運んでいるのがこの団体かも知れない。
という、東京正人吹奏楽団の定期演奏会に行ってきました。
当日は生憎の雨。今年は会場が目黒のパーシモンホールという名前のホールになって、ちょっと足の便は悪くなったかな。雨の上に上り坂なので、都立大学の駅から会場まではタクシーで。時間にして約2分。
歩くと5〜6分ぐらいはかかるのかな。

さて、この楽団の演奏会によく行くのは、選曲のセンスが素晴らしいからというのもひとつの要因。
今回の前半のステージは、泣く子も黙る「ジュビラーテ」、今年の課題曲「天馬」、「火の断章」、そして「火の鳥」。
前半にして、オードブルから一気にメインまで、というようないつもながらの強気のメニューである。
前半は楽器の状態がまだ均一化されていなかったためか、ややピッチが不安定になったりする部分は見られたが、重量感のあるサウンドは、健在。
火の鳥は゛やや全体的に平坦なものになっていたのが残念だった。勿論演奏技術は高いのだが。

そして後半は、酒井格「たなばた」とバーンズの「交響曲第三番」全曲。
たなばたは、酒井氏特有のコード進行によるどこを切っても同じ的な耳当たりの良い楽曲。
そして、メインのメインはバーンズの交響曲第三番。コンクールでもお馴染みの楽曲。
特に3楽章から4楽章にかけての展開は、立体的絵画的な音符の配置が非常に心地よい作品のひとつである。
4楽章のリズムの刻みは、日本の楽団ではまだ完璧に再現した演奏は聞いたことがないが、この日の演奏もご多分に洩れず。まあ、日本人には非常に難しいリズムの刻みではあるのだが・・・・。
しかし、緊張感をうまく持続した快演だったと思う。

さて、アンコール。「エルザの大聖堂への行列」を演奏する前の静けさの中に、赤ちゃんの鳴き声が・・・・。去年も確か書いたと思うのだか、一般の部の演奏会では常につきまとう問題のひとつだろう。
この日は、開演前にアナウンスで「小さな子供の扱い」に関することをしっかりと告げていたのは良かったと思う。「排除する」のではなく「知ってもらう」ことがいいのは当然で、何万円も取るようなクラシックのコンサートならともかく、アマチュアの演奏会で、小さなお子さまお断りというのは無理だろう。そういう意味で、開演前だけでなく、インターミッションでもアナウンスをする必要があったのではないだろうか。

さて、こうして緊張感がほどけたままスタートしたエルザではあったが、中盤から終盤にかけての盛り上がりやラストシーンの演出など、いやというほどエルザを聞いてきたこの耳にも、非常に新鮮に東京正人のエルザは響いた。
個人的には非常に満足度の高いプログラムと演奏だった。
ちなみに、この日はいわゆるポップス系の演奏はなく、冬にポップス・コンサートを毎年開いているようだ。
こうした、一度に全てのものを詰め込んでどっちつかずに終わる的な形を取らないというセンスも、高感度大なのである。

最後に今回初めて訪れたパーシモンホールという会場は、いわゆる「市民会館」的な作りではなく、ステージの天井が高い作りのホール。そのためか、最上段の金管楽器の音が、やや客席に届きにくいかなという印象を持った。が、響きすぎるわけでもなく、もう少し少人数の楽団や、弦楽器を響かせるには、いいホールかな、という感じだった。たとえば、バーンズなら、3楽章まではいい響きだが、4楽章はややモヤッとした感じに聞こえてくる・・・・という印象だった。