鹿児島県吹奏楽コンクール最終日中学校の部

blueoceans122008-07-30

東京からアクロバットに移動して、鹿児島県吹奏楽コンクールの最終日を聞いてきた。
高校の部も激戦だったが、中学校の部も厳しいコンクールになっていた。その中から、印象に残った団体を。

まずは、伊敷台中学校
去年は、九州代表まであと一歩だったこの学校だが、演奏前からこれからこの夏最高の音楽を奏でるという意識が伝わってくるのは去年得た自信なのだろう。課題曲のブライアン、冒頭はややトロンボーンがバランス的に強すぎる為かファンファーレの絶妙なハーモニーが聞こえてこなかったのが惜しかった。主題に入ると本領を発揮するが、課題曲全般を通じて、ややトロンボーンがバランス的に強いかなという印象を持ったのも確か。自由曲は個人的に今年のお気に入りの楽曲だが、この学校は3楽章と2楽章からのコラージュだった。2楽章から抜粋した中間部は、トランペットの流麗な音色を中心に個人技の高さを魅せていたのが印象的だった。また、バルベラン特有に高速パッセージもしっかりと再現していたのはさすがである。ややメリハリに欠けた部分もみられたが、九州大会までにはまた一周りも二周りもスケールをアップさせて来るのだろう。学校としては、2年連続2度目の県代表となった。おめでとう。

続いて、重富中学校
前出の伊敷台中学校の顧問の前任校で、その時代に全日本コンクールに出場経験を持っている伝統校。新たな指導者になっても、ここ数年常に金賞を維持していた。さて、課題曲は、入りの部分のピッチがやや不安定で、情感に訴えることが出来なかったのが残念。全体としては、よくさらっていたが、打楽器にも抑揚を持たせる配慮が必要なのではないかと思われた。自由曲は、高校の部で大島高校が演奏していたが、これから流行りの1曲になるのではないだろうか。この楽曲では、生徒たちの個々の技量の高さが遺憾なく発揮されていた。細かい音符のひとつひとつが埋もれることなくしっかりと再現されていたのは立派である。今後は、音楽により深みを与えて、映像感を持たせていけば更に立体的な演奏になって行くのだはないかと思う。新たな指導者の元での初代表、おめでとう。

続いて、去年まで2年連続全国大会に出場した、吉野中学校
顧問が代わったことで、どう影響するのかが心配されたが、去年のメンバーが40名も残っているとの事で、その重量感あふれるサウンドは健在だった。課題曲の冒頭から不安定になりがちなハーモニーもしっかりと安定していたのはさすがである。サウンドのバランスも全ての楽器が過不足なく、ppからffまで、ダイナミックレンジの広いバンドサウンドで魅了させてくれた。やや打楽器が強めに感じられたのが残念。自由曲はこのサウンドに相応しいプッチーニトゥーランドットからのセレクション。ソロ楽器の音色も美しく、まもなくオリンピックが始まる北京の壮大な絵巻物の世界を色彩感豊かに再現していたのだが、無念の次点(オリベ賞)となった。これを糧に研鑽を積んで、また来年も今回のような名演を期待していたい。個人的に大きな感動をもらいました。ありがとう。

最後に、桜丘中学校
ここ数年、あと一歩のところで代表に届かなかったバンドである。課題曲は今大会でも取り上げる団体の少なかったセリオーソ。冒頭ややアンサンブルがズレたのが惜しかったが、その後は独特の世界観を演出するのに成功していた。ただ、音楽が無機質になればなるほど、音色の種類によって音楽としての色彩感を出さなければならないのだが、そこのアプローチまでには達していなかったのが残念。しかし、楽曲の持つ緊張感をうまく持続していたのはさすがである。九州大会ではより映像感の広がる音楽に仕上がってくる事を期待していたい。自由曲では、個々の演奏技術の高さも素晴らしく、映像感のある音楽の再現に成功していた。全体を通して、打楽器群がややバランス的に強めなのが惜しかった。指揮者は何度も県代表を経験しているベテランだが、学校としては初の念願の県代表をゲットした。おめでとう。

飛行機の時間の都合で、桜丘中学校までしか聞くことは出来なかったが、高校の部、小学校の部、一般の部、そして中学校の部と、そのレベルの高さが他の部門に波及し合って、聞き応えのある演奏が増えてきたのは素晴らしい事であると感じた鹿児島県大会だった。
というわけで、今年の中学の部鹿児島県代表校は以下の3校。

鹿児島市立伊敷台中学校吹奏楽部 (指揮 : 坂下武巳)
課題曲 1: ブライアンの休日(内藤淳一)
自由曲 : 交響曲2番「ステーツ・オブ・マインド」(T.A.バルベラン)

姶良町重富中学校吹奏楽部 (指揮 : 仮屋薗勝宏)
課題曲 4: 天馬の道〜吹奏楽のために(片岡寛晶)
自由曲 : アイヌ民謡イヨマンテ」の主題による変奏曲(福島弘和)

鹿児島市立桜丘中学校吹奏楽部 (指揮 : 折田宗仁)
課題曲 3: セリオーソ(浦田健次郎)
自由曲 : 管弦楽組曲「第六の幸運をもたらす宿」より(M.アーノルド/P.F.ウェブスター/瀬尾宗利)

猛暑の中、頑張って演奏者の皆さん、関係者の皆さん、ご苦労さまでした。そして九州大会に駒を進めた学校の皆さんは、更に研鑽を積んで、いい音楽を響かせて下さい。北九州で待ってます!!