東京都吹奏楽コンクール大学の部予選

時折激しい雷雨が降る中、新小岩駅近くにある会場に足を運び、東京都の大学予選を聞いてきました。
この予選は、全国大会の金賞経験バンドがひしめく激戦区です。
と言いながら、ここ数年は上位6強が不動の強さを発揮しているのも事実。
この日、代表権をゲットしたのは、

中央大学 ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲より 834点
玉川大学 ギヴアスディス 854点
東海大学 「交響三章」より第三楽章 834点
駒澤大学 交響的断章 889点
立正大学 竹取物語 840点
創価大学 宇宙の音楽 826点

予想通りの6強が9月7日に府中の森芸術劇場で行われる東京都大会本選に駒を進めました。

この日のハイライトは、駒澤大学による交響的断章(ネリベル)。往年のファンには嬉しい涙ものの選曲ですね。そしてその駒澤大学、マイルドながらも鋭角的で重量感のある独特のサウンドで、全く他を寄せつけない圧倒的な名演を残しました。この演奏を聞けただけでも、足を運んだ価値は大ありでした。地の底を這うようなppからトゥッティまで、微動だにしないブレないサウンド、音の入りはもちろんのこと、音を離すタイミングやその瞬間の丁寧なサウンド造り。恐ろしいほどに隅々まで神経の行き届いたサウンドと演奏には脱帽を通り越して唖然状態でした。

2位通過の玉川大学も、一昨年の名演を思わせる均整の取れた堅実なサウンドと音楽を披露していました。このバンドは打楽器の強奏が無いのが非情に心地よいですね。あくまでも管楽器で音楽を作り上げて、打楽器を添える・・・・理想的な組み立て方です。立正大学東海大学中央大学はいわゆる今どきの大学生のサウンドであり、演奏という印象を持ちました。ただ、3団体に共通しているのが、金管サウンドに艶が無いところ。木管楽器は非情に艶やかなサウンドを作り上げているので、金管に艶が加わると、音楽に美の連鎖が生じると思うのですが・・・・。また、これも共通していたのは、ストイックなまでには出来ないけれど、出来る範囲のことはキッチリやるという姿勢が見られた好演だったこと。そういう意味で音楽を楽しんでやっているという姿勢は伝わって来ました。気になったのは東海大学が、やや打楽器のバランスが強過ぎるかな・・・・というところでしょうか。
創価大学は課題曲をちょっと考え過ぎたのが残念でしたが、一昨年とはまた違ったカットによる自由曲での再挑戦。このバンドはアグレッシブな部分が非情に楽しみなバンドだったのですが、今年はややおとなしめの演出になってしまったようです。本選までにそのスタイルに変化をもたらすのか、それとも一度決めた道は貫き通すのか、注目していましょう。

それにしても、6つの大学、どこもが全国的な視点から見てもトップレベルの演奏を聞かせてくれます。この中から1団体しか全国大会に進めないという、非情なほどの激戦区ですが、その分オーディエンスにとっては非常に楽しみな大会でもあります。
響きがライヴな府中の森での本選で、それぞれにどんな音楽に聞こえて来るのか、比較できるのも楽しみです。
因みに、来年は予選会も府中で行われるそうです。