吹奏楽コンクール中国大会・中学校の部

九州大会を聞き終わって、3日間博多で仕事。本当は4日間の予定だったのだが、早く片づいたので、木曜の夜に倉敷入り。
そして吹奏楽コンクール中国大会・中学校の部を聞いてきた。
中国地方の中学校の特徴は、まず打楽器が管楽器を邪魔するようなバランスの悪い団体が殆ど無いこと。そして木管の音色が豊かなので、長時間聞いてても、疲れないことだろうか。
今回の会場は、倉敷市民会館。かなり古い会館のようで、ステージの方は修復した跡が見られるが、客席の椅子がひどい。まあ座り心地の悪さはしょうがないとして、ちょっと姿勢を変えると、ギシギシガタガタ音がするために、演奏中もあちらこちらからギシギシガタガタと音が聞こえてくるという少々悲惨な状況だった。
まあ、各県持ち回りで中国大会を開催しているので、いろいろと会場押さえなど、ご苦労があるのだろう。

さ、そんな中で、見事中国代表の権利を手にしたのは、

広島県府中町立府中中学校(初出場)第六の幸福をもたらす宿より
山口県周南市立岐陽中学校(初出場)バレエ音楽「シンデレラ」より
島根県出雲市立第一中学校(3年連続38回目)スペイン狂詩曲

の3校。府中中学校は、初出場ではあるが、指揮者が、以前に海田中学校を3年連続全国大会出場に導いた古土井正己さん。やはり課題曲のツボを押さえたアナリーゼと表現力、自由曲もミスは見られたが全体をひとつの音楽にまとめる力はさすがである。

岐陽中学校は、女性指揮者らしくオーソドックスな進行ぶりが見事だった。ただ、その分時として非常に音楽が単調に聞こえてしまう部分もあり、その辺の集中力と、時折見られたピッチの不安定さに気をつかって頂きたいと思う。

そして、なんと38回目の出場となる名門、出雲市立第一中学校。課題曲3番は、先日東京予選で聞いた駒澤大学と、この出雲一中の演奏を聞いて、「なるほどこういう要素を持った曲だったのか」と再認識させられた。つまり、非常にアナリーゼの行き届いた、細かい表現力による演奏だったのである。課題曲では大会を通してぶっちぎりの名演となった。自由曲はラベルのスペイン狂詩曲。こちらも細かいフレーズや要素を細かくあぶり出した再現した演奏だったが、ラベルの楽曲特有の音の持続感がいまひとつ欠けていたような気がする。ま、これから更に精度を高めていってくれることだろう。

その他、かつて出雲二中を全国大会に導いた竹下克敏氏率いる大田市立第一中学校(おおだし、と読みます)は、非常に感銘度の高いトゥーランドットで会場を沸かせたが、課題曲のマーチが精彩を欠いていたのが惜しかった。話によると次点だったそうである。個人的には、こういう情熱のこもった音楽を全国の舞台で多くの人々に聞かせてあげたかったが。
また久々の中国大会復帰となった出雲市立第二中学校は、こちらも課題曲のマーチの推進力がいまひとつだったが、自由曲では重厚なアンサンブルを聞かせてくれた。
山口県下松市立末武中学校は、奏者の配置が良く、非常にまろやかながらエッジのあるサウンドを持っていたが、いま一つ音楽的に訴える演出がなかったのが残念。
男子校の修道中学校は、よく鍛えられたアンサンブル力を見せてくれたが、楽曲のせいもあるのか、やや単調な自由曲になってしまったのが残念だった。

更に、銀賞ながら、出雲市立河南中学校ジャポニスムも、歯切れのいいリズム感をもった好演だったと思う。

ところで、今年の中国地方は、2団体が3年連続出場休みとなり、東広島市立黒瀬中学校津山北陵中学校が招待特別演奏を行った。
ストレートなサウンドがクリアな黒瀬中学校。
マイルドで躍動感のあるサウンドと音楽が美しい、津山北陵中学校。特に津山は1年生の男子と指揮者の先生のひょうきんなパフォーマンスが会場を大いに沸かせていた。

帰り道すがら、倉敷の美観地区を散策してきたが、なんと「星野仙一記念館」なるものがあったが、野球が韓国に負けた後だっただけに、ちょっとひっそり感が漂っていたのである。