2008年東京都吹奏楽コンクール・中学校高校の部・本選

blueoceans122008-09-15

敬老の日となった連休の最終日、東京都吹奏楽コンクール、中学校と高校の部を聞きに行きました。
場所は、杉並の普門館
全国大会が行われる会場です。
前日、深夜まで仕事だったために、中学校の部は後半のみ聞きました。
その中で印象に残った団体を。

まずは、玉川学園中学部
いつも思うのですが、大人びた生徒の多い中学校です。
去年は予選で苦杯をなめたようですが、今年は見事に本選に復活。
課題曲は冒頭部分から、やや立ち上がりが揃わないのが気になったものの、サウンドと音の粒だちのクリアさは、かつてのものを取り戻した感じで、非常に輪郭のハッキリとした音楽を展開していました。
演奏する時の表情もにこやかで、またパーカッションの男子生徒のリズム感の良さも目立つ好演でした。
個人的には今年の東京代表に推したい演奏でしたが、惜しくも、金賞止まり。
しかし、この勢いを維持しながら、是非来年は久々の代表をゲットしてもらいたいものです。

そして中学校のトリを努めたのが、全国大会の常連校、小平市立第三中学校
課題曲の冒頭から、やや不安定な細めのサウンドが気になりましたが、音楽作りはお見事の一言に尽きる仕上がり。
ただ全体を通して、音楽に更に説得力を持たせる、意志をもったサウンドが、例年に比べると不足しているような気がしました。
ま、その辺は百戦錬磨の指導者と生徒達ですから、全国大会にはまた更にスケールアップして来るのでしょう。

というわけで、東京代表は、この小平市立第三中学校小平市立第六中学校と、共に小平勢が獲得。
今回残念ながら小平市立第六中学校の演奏は聞けなかったのですが、非常に重厚なサウンドとテクニックをもったバンドだと記憶しています。やや音楽表現が個性的だったような記憶もありますが、久々の代表ということで、是非旋風を巻き起こして来てもらいたいものです。

さ、ランチタイムを挟んで、高等学校の部。
今年は2校が3年連続出場でお休みながらも、いわゆる6強のうちの4校が熾烈な代表争いを繰り広げるだろうという戦前の予想は、見事に当たりました。

最初に登場したのは、駒澤大学高等学校
ここ数年代表から離れているこのバンドですが、毎年じっくりと時間をかけて積み重ねてきたサウンドと音楽を楽しみに聞かせてもらっています。今年は特に課題曲の推進力が素晴らしく、旋律の美しさや安定したハーモニーで、やはり上位校の音楽のレベルの違いを見せつけていました。
自由曲は、懐かしいショスタコの5番。重厚な木管ときらびやかな金管ブレンド具合が見事で、独自の世界観を作るのに成功していました。中間部でやや緊張の糸が緩んでしまったのだけが、残念でした。それでも非常に質の高い好演だったと思います。
気になるのは、ここ数年やや金管サウンドに艶が不足していることでしょうか。そのため音楽に躍動感が欠けてしまっているようです。是非この辺を修正して、かつてのような鮮やかな音像飛び交う演奏を取り戻してほしいものです。

続いて登場したのは、東海大学菅生高等学校
このバンドも長年に渡って東京の高校の吹奏楽シーンをリードして来た学校ですね。
課題曲4番は、やや平面的な表現が気になりましたが、どのバンドも苦労する中盤のフルートソロの伴奏部分のハーモニーが、実に安定していて鮮やかでした。今大会を通して、4番でこのハーモニーを正確に再現できていたのはこのバンドだけでしたね。あとはアップテンポになる部分で、音楽に更に躍動感が出ると、より映像的な演奏になるのではと思われます。
自由曲はホルストの惑星。打楽器奏者がまだ定位置に着かないうちにスタートしてしまったのにはビックリしましたが、木管サウンドも非常に重厚で、艶やかなブラスサウンドと共に、ゴージャスな惑星を作り上げていました。ただ、楽曲の良さにやや引っ張られている感もあって、逆に楽曲を引っ張って行くパワーみたいなものがもっと感じられると、感銘度がアップするかも知れません。

続いて、八王子高等学校
課題曲3番は、楽曲が持つ緊張感を終始崩すことなく演じきったのに脱帽です。個々の奏者の技術力も素晴らしく、安心して音楽に身を委ねられるのは、生徒たちの努力の賜物でしょう。しかし、やや中低音が不足しているために、音楽が若干軽めに聞こえてしまったのは少々残念でした。それにしても、細かなパッセージが後半に行くに従って息切れするどころか、逆にしっかりと全面に出てくる木管の揺るぎないサウンド作りはお見事です。
自由曲は、シュトラウスのティル。ここでも、サウンドの重厚感にやや欠けるきらいはありましたが、非常に輪郭がクリアな音楽表現に好感が持てました。たまにブラスサウンドに破裂音が聞かれましたが、この辺は好みの問題でしょうか。冒頭のホルンが更に自信を持ってその存在感を提示できれば、鬼に金棒となるかも知れません。

そして最後に登場したのは、都立杉並高等学校
その鮮やかなラベンダー色のジャケットそのままに、非常に流麗な木管サウンドと、技巧的な金管サウンドコントラストか美しいバンドです。課題曲3番は、その流麗なサウンドで時折緊張感を途切れさせてしまっていたのが残念でしたが、言い換えると、サウンドのバリエーションを増やす事が、このバンドの課題なのかも知れません。
自由曲は、ラフマニノフの交響的舞曲。ここでも、サウンドのバリエーションの少なさが、楽曲そのものが持つ多面性を阻害してしまっていたかも知れません。終始世界観が変わらないまま終わってしまったのが残念でした。しかし、勿論サウンド技量共に、他のバンドと遜色ないのは確かです。

さて、金賞は勿論この4団体が受賞しましたが、代表権をゲットしたのは、東海大学菅生高等学校と、八王子高等学校でした。
しかし、この上位4校、どの学校が代表になっても、おかしくないレベルの高い音楽を残してくれました。
非常に強い睡魔に襲われながらも出かけた東京都大会でしたが、紹介した学校以外にも、多くのバンドに元気を注入してもらいました。
予選からここまでの長丁場、皆さんお疲れさまでした。そして今年も素敵な音楽をありがとう。