全日本吹奏楽コンクール・大学の部

福岡での仕事が終わり、東京に直帰せずに、全日本吹奏楽コンクール大学の部を聞きに、大阪に立ち寄りました。
会期は、グランキューブ。ちょうど開催直前に、京阪中之島駅が誕生していました。
電車でくる人たちには、いいアクセスが出来ましたね。

さて、大学の部は、午後2時以降のスタートになるので、昼間は心斎橋で買い物が出来るという、いい条件ですね。
ま、日頃不摂生をしてる私ぐらいしか、こんなことは感じないのかも知れませんが。

さてさて、大学の部。
トップバッターの金沢大学は、女性の学生指揮(多分)でしたが、やはり全体的に音楽が淡々としていて、何かを主張することが出来ないまま、終了してしまった感じでした。続く東北福祉大学は、非常によくまとめられた演奏でしたが、やはり、高校を卒業した学生さんの音楽ですから、さらにオーディエンスに訴えるものが必要なのではないでしょうか。でも、非常にレベルの高いサウンドを有していたと思います。

そして去年は銀賞の苦杯をなめた龍谷大学。課題曲を想定した配置は圧巻。音楽によって配置を考える、これも、「何か伝えるもの」のひとつですね。奏者の技術力も高く、課題曲自由曲を通じて隙のない演奏はお見事でした。ただ自由曲が個人的に思うに、音楽的な中身の薄いものに感じられました。演奏する学生さん達は、そんなことを考えたりはしないのでしょうか。
続いて、駒澤大学。年々、そのサウンドの3次元化が進むこのバンドですが、今年はさらに立体的なサウンドと、息をも尽かせぬ演奏力音楽力が他を圧倒していました。自由曲に比べると、課題曲にもっと精度をあげる余地があったようにも感じられましたが、文句の付けようのない堂々たる金賞でしょう。長年のファンとしても、納得の高レベルな音楽でした。
続いて、文教大学。今年はまずサウンドが全体的に開き気味で、例年のような鼻筋の通ったサウンドと音楽が息をひそめていました。自由曲の選曲もこのバンドらしからぬもので、どんな心境の変化があったのでしょう。ぜひかつてのようなドライブ感あふれながらも流麗さを持ったサウンドを取り戻してほしいものです。
前半最後は愛知教育大学。地区予選の時の指揮者が体調を壊したそうで、指揮者が変わっての全国大会となりました。ブライアンとドビュッシーという組み合わせも凄いですが、どちらかというと、サウンドはブライアン的かな、という印象でした。ドビュッシーを演じるには、サウンドにさらなるバリエーションが欲しかったですね。

さて、後半、トップバッターは福岡工業大学。例年好位置につけるバンドですが、今年も、硬質ながらも、弾力性のあるサウンドが印象的でした。自由曲は、深い表現力か必要とされる4番。ちょっとこの選択が誤ったかなという印象。その分自由曲のサウンドがバンドに最適で、感銘度が倍増していたようでした。課題曲の選択も大切ですね。
続いて初出場の城西国際大学。今日聞いた限りではまだまだ基礎的な部分をサウンド的にも技術的にも詰めていく必要がありそうです。続く熊本大学も同様で、音楽を表現するためにスキルアップにさらに励んでもらいたいものです。一皮むけると、嘘のように鮮やかに新たな音楽の世界が見えてくるはずですから。

札幌大学は去年も感じたのですが、サウンドの積み重ね方にやや不自然なものを感じました。技術力のあるバンドなのでもったいないですね。続く山口大学も同じような印象。楽曲によるものではなく、バンドのサウンドそのものに原因はありそうです。

さて、今日のトリは近畿大学。このところ金賞から遠ざかっていて、去年久々に復活した近畿大学。去年はまだアップアップという感じでしたが、それで得た自身は大きかったようで、1年間でまるで違ったバンドに変身して来ました。特に課題曲5番は本日最高の演奏だと感じました。シダスは、弱奏部分でやや不安定な部分もみられましたが、協奏部分では、かつての品のあるきらびやかを取り戻してくれたようで、往年のファンとしてはうれしい限りです。

というわけで、大学の部を聞きましたが、バンドによってかなり音楽やサウンドに差がでてきてしまったな、という印象を持ちました。
こうなると、3種類ではなぐ、4種類ぐらいの賞がないと、明確なランク付けが出来なくなってくるのではないかな、とも思いましたね。
また、もう少し開始時間を繰り上げて、出場団体を若干増やしてもいいのかな・・・と。特に全国から学生が集って来る東京、第2の都市大阪を抱える関西などは、もう1団体ずつ増やしても、さらに聞き応えは増すことでしょう。
その分審査が難しくなっては来るのでしょうが。みなさんはいかがお考えでしょう。