駒澤大学吹奏楽部定期演奏会

今年も全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した、駒澤大学吹奏楽定期演奏会に出かけてきました。
会場は、すみだトリフォニーホール
東京の東部、錦糸町という場所にあるホールですが、街の雰囲気とは裏腹にゴージャスな響きを持ったホールです。

第一部前半は、汐澤安彦氏の客演。
演目は、ブロックM/J.Hブリック
吹奏楽の為の第一組曲ホルスト

ブロックMでは、やはり客演の為か、あるいは会場の響きも相まってか、ややバンドと指揮者のコンビネーションがいまひとつでしたが、ホルストでは瞬間化学反応を起こしていました。
これだけゴージャスなサウンドを持ったバンドでの第一組曲は、また新たな解釈も加わっての圧巻。
細かいディテールのひとつひとつを浮かび上がらせながら、主題がひとつの線になって貫通していく様は、非常に気持ちよかったですね。

第一部後半は、音楽監督秋山鴻市氏の指揮。
演目は、朝鮮民謡の主題による変奏曲/チャンス
古いアメリカ舞曲による組曲/R.R.ベネット

客演に比べると、やはり音楽監督とのコンビネーションはバッチリ。朝鮮民謡の主題の解釈に少々驚きつつも、全体を通して斬新な解釈を加えた演奏にブラボーでした。その解釈が気になる方は、ぜひライブ盤をお聞きください。
アメリカ舞曲の方も、非常に引き締まったサウンドとテンポが心地よかったですね。楽曲そのものはアメリカン・スタンダードの寄せ集め的な感じで、いまひとつ魅力に欠けましたが・・・・。

さ、第2部は上埜孝氏の登場。今や吹奏楽界無敵の組み合わせです。
演目は、交響的断章/ネリベル
セリオーソ/浦田健次郎
ローマの松/レスピーギ

最初の2曲は今年のコンクールの演目ですね。交響的断章の冒頭はやや鉄壁の縦の線が崩れていましたが、その後はまたまた圧巻のネリベル。打楽器も特にティンパニーの打音が絶妙で、管楽器サウンドを下から押し上げてくるようなマレットさばきに終始興奮しっぱなしでした。
もちろん、全ての楽器のクォリティがアマの領域を超えています。
今年は、東京都予選・本選、そして全国大会、定期演奏会とこの組み合わせの演奏を全通してしまいましたが、何度聞いても、クォリティの高い音楽です。
そして圧巻はローマの松。ホルンやオフステのソロ等にやや不安感はありましたが、非常に細かい部分のサウンドまで実に見事にタイトに再現しているのには脱帽。
ラストは、2階のサイドボックス席にバンダが陣取ってステージ上のバンドと一糸乱れぬ一体感でオーディエンスの感動を最高潮に引き上げていました。
これで1800円。非常にありがたいコストパフォーマンスです。
ただ、今回のような会場は一般的には弦楽器を伴ったオケ用の作りで、吹奏楽の場合は、やや焦点が定まらないサウンドになってしまいます。金管楽器も重要な役割を果たす吹奏楽の場合は、その配置等、こうした会場に合わせたものを考えるのも必要なのではないかな、と感じました。
それにしても、いい夜を過ごすことが出来ました。お疲れさま、ありがとう。