鹿児島県吹奏楽コンクール中学校の部最終日

今日は、鹿児島県吹奏楽コンクール、中学の部の最終日を聞きにいきました。
九州の中でも、レベルの高い県大会のひとつです。
その中から、代表団体、金賞団体の感想などを簡単に。

まずは代表校から、鹿児島市立桜丘中学校
課題曲は、数少ない3番。朝一番の登場にも関わらず、非常にクリアで流麗なサウンドが印象的だった。やや場面転換やフレーズの受け継ぎなどに不自然さが感じられたのが残念。自由曲はこなれた曲なのか、課題曲とは打って変わって音楽が活きていたのが印象的だった。また、これまではやや打楽器が破綻したりなど、バランスの悪さを露呈したこともあったこの指揮者とバンドであるが、今日のサウンドと演奏は、非常に心地よいバランスと音楽の流れを作り出していた。終盤もサウンドが破綻することなく、音楽的にも安定度は秀逸だった。

続いて、鹿児島市立伊敷台中学校
課題曲は4番。冒頭から非常に美しいサウンドが流れてくるが、ややマーチとしての自然な推進力が時として遮られてしまったのが残念。自由曲は、70年代に全国的に流行した作品。旧い作品なだけに、どんなオーケストレーションで来るのか興味津々だったのだが、選んできたのはチェザリーニ版。イントロを完璧に合わせるのはかなり難度の高い楽曲ではあるが、そこは今後の課題で、とりあえず今日の演奏については、非常に高純度の音楽を聞かせて頂いたことに感謝したい。
ところで、このバンドの演奏中に客席で、演奏を終えた他校の生徒の携帯電話の着メロが鳴っていたが、非常に残念な出来事だった。

そして、鹿児島市立谷山中学校
公立の中学校にもかかわらず、指揮者は変われど、またまた代表権を獲得。すばらしい伝統の引き継がれ方である。課題曲4番は、やや全体的に流れが固いのが気になった。個々の楽器の響きは美しいが、合奏でのバランスのとり方が今後の課題だろう。自由曲冒頭は、やや不安定な部分もあったが、ソロ楽器の奏法が美しく、終始心地よい音楽空間を演出していたのが印象的だった。九州大会では、より細かいフレーズを確実に奏でられるように、更に精進してもらいたいものだ。それにしても紹介アナウンスで「ダッタ人の踊り」と言われた時には、ズッコケてしまった。そういえば、「だったん人」という言い方は、公の場では使ってはいけなくなった言葉だったような気がしますが・・・・。

そのほか金賞団体の中で印象に残った団体。
鹿児島市立吉野中学校
去年に続いてまたもや顧問が変わって、生徒たちは戸惑いも多かったことだろうが、かつて全国に轟いたサウンドのきらびやかさはしっかりと受け継がれていたのが印象的だった。サウンドも演奏も安定しているが、音楽的に何をやりたいのか、新しい顧問と今後作り上げて行く姿に期待したいところである。

そして、舞鶴中学校
非常にエッジのあるサウンドが心地よかったが、課題曲自由曲を通じて、音楽することよりも楽器を鳴らす事に主眼がおかれていたのが残念。より情緒的な部分が出てくれば、飛躍的に進化するバンドではないだろうか。

垂水中学校は、自由曲の朝鮮民謡の表現力と、推進力が素晴らしかった。ほどよく緊張感を持ちながら歌い、クライマックスでもしっかりと細かいフレーズを再現していたのに拍手。惜しむらくは、完成に至らなかった課題曲だろう。

そして去年代表となった、重富中学校
非常に安定感とダイナミックレンジの広さを持ったサウンドではあるが、このサウンドで課題曲2番を表現しきるのは非常に難しかったようだ。また楽器によって技術力に格差があり、自由曲では、その弱点部分を露呈してしまったのが残念。またフォルテシモは叩きつけるのではなく、ゴージャスに響かせる・・・・そんな音楽の表現力を持って欲しいなと感じる演奏だった。しかし、指揮者と奏者の演奏に対する情熱には感動させられた。

というわけで、今年の鹿児島県代表は以下の通り。

鹿児島市立伊敷台中学校(指揮:坂下武巳)
課題曲4:マーチ「青空と太陽」(藤代敏裕)
自由曲:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲(G.ヴェルディ/F.チェザリーニ)

鹿児島市立桜丘中学校(指揮:折田宗仁)
課題曲3:ネストリアン・モニュメント(平田智暁)
自由曲:管弦楽のための“ジョージ・バーナード・ショー”的素描より 「メジャーバーバラ」(W.ウォルトン/瀬尾宗利)

鹿児島市立谷山中学校(指揮:岩井田万里子)
課題曲4:マーチ「青空と太陽」(藤代敏裕)
自由曲:歌劇「イーゴリ公」より“ダッタン人の踊り”(A.ボロディン/M.ハインズレー)