鹿児島県吹奏楽コンクール高校の部最終日

今日は、激戦区と言われる鹿児島県吹奏楽コンクール高校の部を聞きに行きました。
その中から印象に残った団体の感想を。
まずは代表団体から。

鹿児島県立松陽高等学校
課題曲は今年から高校も選択することが許されるようになった5番。冒頭から芯の通ったサウンドが非常に心地よく、楽器をまたがって引き継がれていくフレーズの受け渡しも非常に自然で、奏者の技術力の高さを伺わせる演奏でした。やや立体憾に欠ける部分があったのが残念。自由曲は2005年以来のダフニスとクロエ。ダフニスは今年の高校の部の流行り曲のひとつになっていますね。冒頭はハープとのバランスなど、やや二次元的な音楽になってしまっていましたが、音楽が進んでいくにしたがって、立体感や映像感が出てくる演奏でした。ただ、もっともっと場面場面のメリハリが欲しかったような気がします。九州大会では昨年のリベンジを果たしてもらいたいものです。

続いて、出水中央高等学校
課題曲はマーチとしての推進力にやや欠けた演奏でした。ファンファーレのバランス、管楽器と打楽器のバランスに一考が必要かも知れません。しかし、全体としての合奏力の高さは健在で、楽曲の中のひとつひとつの要素が細かい部分までしっかりと再現されていました。自由曲は、今年も、流行り曲になっているトゥーランドット・後藤版。非常にオーケストレーションの練られたアレンジなだけに、合奏力の高いこのバンドには最適な選曲なのでしょう。後半、やや打楽器の強打が管楽器のサウンドを遮ってしまう部分があったのが残念でした。より音楽的な楽曲の構築を九州大会では期待したいものです。

そして、鹿児島情報高等学校
課題曲のファンファーレはほぼ完璧で、マーチ全体を通しても、推進力等申し分のない演出でした。終始音楽がクリアに響きわたっていたのが印象的です。自由曲は、コンクールでは懐かしい楽曲のひとつ、ショスタコーヴィッチの革命。指揮者の十八番のひとつでしょう。ただ、アレンジされた年代がやや古いためか、オーケストレーションのバランスが、いまひとつしっくりこない部分もあり、音楽が停滞してしまった箇所があったのが残念でした。しかし、終盤クライマックスのパフォーマンスは圧倒的で、バンドとしての勢いがさらに増して来ているという印象を十分にオーディエンスに与えていたようです。

というわけで、鹿児島県の代表は、去年と同じ顔ぶれになりました。

さ、その他の団体の中でまず印象に残ったのが、鹿児島県立大島高等学校
元松陽高校の顧問赴任の年にいきなり県大会で金賞を受賞した勢いは更に加速して、非常にダイナミックなサウンドを引っさげて県大会に戻ってきました。課題曲2番は、オーケストレーションに難がある曲ですが、タイトな音楽に仕上げていたのはさすがです。が、ややメリハリに欠けた感があったのも事実でした。自由曲のトゥーランドットは、場面転換をクリアに表現していましたが、まだサウンドが発展途上にあるのか、時折素に戻ってしまう部分がみられたのが残念。ですが、代表争いに充分絡む好演だったと思います。

そしておりべ賞を受賞した神村学園高等部
課題曲は4番。マーチに定評のある神村らしい推進力を持った演奏でしたが、やや速めのテンポ設定の中、音楽に靄がかかってしまう部分があったのは残念。自由曲は、スパークのアグレッシブな名曲、宇宙の音楽。弱奏部分や、後半のファンファーレなどには持ち前のサウンドを感じることが出来ましたが、全体的に印象が散漫になってしまっていたのが残念でした。しかし、もちろんレベルの高い好演だったのは事実です。

また銀賞ながら、非常に美しいサウンドと音楽を聞かせてくれたのが、鹿児島県立加治木高等学校
課題曲自由曲を通じて、調和のとれたクリアなサウンドと音楽を展開していました。やや音量不足が気になりましたが、音楽性豊かな演奏は非常に好感が持てるものだったと思います。充分金賞に値する演奏だったと思いますが、これをバネに更なる飛躍を期待したいものです。

というわけで、今年の鹿児島県代表は以下の通り。

鹿児島県立松陽高等学校(指揮:美座賢治)
課題曲5:躍動する魂〜吹奏楽のための(江原大介)
自由曲:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より(M.ラヴェル

出水中央高等学校(指揮:福島玲士)
課題曲4:マーチ「青空と太陽」(藤代敏裕)
自由曲:歌劇「トゥ−ランドット」 より(プッチーニ/後藤洋)

原田学園鹿児島情報高等学校(指揮:屋比久勲)
課題曲4:マーチ「青空と太陽」(藤代敏裕)
自由曲:交響曲第5番「革命」より終楽章(D.ショスタコーヴィッチ/C.ライター)