2009年度 東京都高等学校吹奏楽コンクール/1日目

府中の森芸術劇場で行われた、東京都高等学校吹奏楽コンクール・予選第一日目を聴いてきました。
東京都の高等学校のA部門の予選は4日間に渡って開催され、毎日上位3団体、合計12団体が本選に進みます。
また同時進行で小ホールの方で他の部門が開催され、殆どの高校が両方の部門に出場する為に、父兄も先生も観客も大変なお盆休みの4日間になるわけです。
今年のA部門の予選参加校は87団体。

この日最初に聴いたのは潤徳女子高等学校
このバンドは70年代に流行した懐かしの名曲を毎年選曲して来るので、個人的に非常に楽しみにしているバンドです。課題曲4番は、全体的にややサウンドにクリア感が不足していたのが残念でした。一転して自由曲は打楽器を左右に配置してステレオマティックな効果を満載したメキシコの祭。非常に緊張感と躍動感を持った祭りにしばし酔わせていただきました。ただ、この時代の曲はややオーケストレーションに難があるのも事実で、その辺のアレンジメントに気を配ると、更にサウンドが立体的になるのではないかなとも思いました。今年は残念ながら予選敗退となりましたが、充分に代表に値する演奏だったと思います。

さ、お昼休みを挟んで登場したのが、東京6強のひとつ、駒澤大学高等学校
課題曲はお得意のマーチ。ここ数年金管サウンドが硬質なのが気になっていましたが、やや改善がみられたかなという印象でした。マーチ全体としては、推進力も心地よく、完成度の高いものになっていました。自由曲は秘密兵器の1曲、くじゃく。非常に緻密に練り上げられた感のある演奏でした。ややスケール感に欠ける感じもしましたが、次回は普門館での本選。しっかりとその器にサウンドを修正して来てくれることでしょう。

そして最後のブロックに登場したのが、去年の東京代表のひとつ、東海大学菅生高等学校
やはり全国大会に出場した自信というのは、サウンドをスケールアップさせてくれるのでしょう。非常に重厚なサウンドでの課題曲1番は、この楽曲の持つ魅力を最大限に引き出したものとなりました。自由曲のエクストリームメイクオーバーでも、ダイナミックレンジの広いサウンドが心地よく、アッという間に終了してしまった・・・・そんな彩り豊かな自由曲でした。この勢いを本選でも保って貰いたいものです。

そして最後に登場したのは、都立小山台高等学校
課題曲4番、自由曲の中国の不思議な役人、共にサウンドにおける荒さが目立ちましたが、音楽的な勢いが非常に感じられる演奏でした。ここ最近はサウンドの完成度よりも、音楽の大きさに審査の重点が置かれていますが(もちろん基本的なサウンドが確立されていることを条件に)、そういう意味でこうした公立高校が音楽を全面に押し出した演奏で代表に選ばれるというのは、意味のある事かも知れません。

さ、その他毎年個人的に注目しているふたつの都立高校がこの日に登場しました。国立高校立川高校です。
国立高校は、課題曲自由曲共に堅実にまとめあげて来ましたが、そこから音楽的にどうアピールするか・・・・までには至っていなかったのが残念でした。立川高校は、駒澤高校が非常に緻密な演奏をした後というのも影響してか、自由曲にやや乱雑な部分が多くみられたのが残念でした。課題曲の選択もややサウンドに合っていないかなという印象でした。
しかし、両校共に確実に力のあるバンドなので、今後のスキルアップに期待したいところです。

さて、この日は、B部門等に辞退する学校もいくつかみられ、やはり新型インフルエンザは確実に蔓延し出しているのだな・・・・と感じると同時に、吹奏楽コンクールだけでなく、1年間の成果を発揮する場を奪われている学生さん達がたくさんいるんだろうなと、複雑な気分にもなったのでした。