2009年 第50回中国吹奏楽コンクール・中学校の部

前もってチケットは入手していたものの、行けるかどうかわからなかったこの大会ですが、なんとか昨日のうちに仕事を済ませて、周南市に行ってきました。
8時10分に福岡の部屋を出て、周南市文化会館に着いたのが、9時35分。
距離とは裏腹に、非常に近いな・・・・という感じですね。

それにしても非常に暑い暑い1日でした。
そんな中、まず印象に残ったのが、島根県代表大田市立第一中学校
島根の第一中学校というと、出雲を想像しますが、この大田一中も非常に伝統のあるバンドのひとつです。特に近年、かつて出雲二中を3年連続全国大会金賞に導いた竹下克敏先生が赴任してから飛躍的にパワーアップが図られ、今年はついにトップの成績で中国代表権をゲットしました。それにしても1年前とは別バンドのような変貌ぶりで、まずサウンドのクリアさが圧巻でした。自由曲のサロメは中学生らしからぬ妖艶さもあって、あっという間に時間が過ぎ去ってしまった感じでした。サウンドのスケールも見事で、今大会の出場バンドの中でも出色の出来ばえを残しました。全国大会でも旋風を巻き起こしてくれる事でしょう。竹下先生の情熱的な指揮さばきも、お見事でした。

その他代表をゲットした団体のひとつが常連の津山市立北陵中学校
今年から指揮者が交代しました。今はその過渡期という感じなのでしょうか。課題曲では随所でハーモニーに濁りが見えたのが残念でした。自由曲はお得意の鈴木英史氏によるセレクションものの新曲、喜歌劇「チャルダッシュの女王」セレクション。おなじみのセレクションものと同じく、中学生らしいフレーズやパフォーマンス満載のアレンジメントです。全国大会までにはより緻密で安定したハーモニー作りを完成させてほしいものです。

もうひとつの代表団体は、山口県代表の桑山中学校
かつて3年連続全国大会金賞を受賞した事もある名門バンドです。課題曲自由曲共に、安定したハーモニーと粒立ちのいいサウンドが光っていましたが、ややスケール感に乏しい感じがしたのと、全体的にサウンドが硬質なのが気になりました。全国大会までにどれだけ練られていくのか、楽しみにしていたいと思います。

その他の金賞バンドの中では、着実にスキルアップして来た出雲市立平田中学校が印象に残りました。指揮者はこちらもかつて3年連続全国大会金賞に導いた、古川慎治先生。往年のサウンドのスケール感に近づきつつある一方で、まだまだミストーンが目立ったり、ハーモニーが不安定な部分がみられたのも事実。しかし、これからまた1年、更にスキルアップして来るのは間違いないでしょう。かつての平田サウンドのファンのひとりとして、非常に楽しみです。

また銀賞ながら、出雲二中の自由曲は非常に流麗な華麗さを持っていました。課題曲自由曲ともにシロフォンマリンバ等を奏でていた女子生徒の表現力豊かな世界観にはうっとりさせられました。全体的にはハーモニーの不安定さなどがまだ残っていますが、復活への足掛かりは着実につかんだのではないでしょうか。

また金賞ながら代表を逸した、府中町立府中中学校も、卓越した指揮者の元、非常に心地よいサウンドと音楽を作り上げていました。ややサウンドにクリア感に欠けたのと、自由曲が中学生の理解をやや超えるものだったミスマッチ感が残念でした。しかし、充分に代表に値する演奏だったと思います。

というわけで、帰りの時間になっても、猛暑が続いた周南市。駅周辺がかなり寂れていたのが気になりながら、この港町を後にしたのでした。