東京正人吹奏楽団ファイナルコンサート

恐らく東京の一般バンドの演奏会としては、私が最も足を運んできた、東京正人吹奏楽団のファイナルコンサートが、練馬文化センターで行われました。
ファイナルコンサートという事ですが、実は、この演奏会をもって常任指揮者が交代、新たなバンドの生まれ変わるという事なんだそうです。

演目は以下の通り。

吹奏楽のための協奏的序曲/藤掛廣幸
迷走するサラバンド広瀬正
汐風のマーチ/田嶋勉
マードックからの最後の手紙/樽屋雅徳
カントゥス・ソナーレ/鈴木 英史

アルヴァマー序曲/J.バーンズ
デリー地方のアイルランド民謡/P.グレンジャー
Suite a la Celebration/天野正道(東京都一般吹奏楽連盟創立50周年記念委嘱作品)

メリー・ウィドウ・セレクション/レハール
サンダーバードのテーマ

オープニングは、1976年の吹奏楽コンクールの課題曲。懐かしいですね。やや金管楽器を中心に、発音のズレが目立ちましたが、確かにこの曲、ピンポイントにズバッと当てるのが難しい曲です。
続いて今年の課題曲から2曲。
この辺から、見違えるようなバンドサウンドになったのが印象的でした。やはり昨今の課題曲は昔のものに比べるとくみし易いのでしょう。
個人的にはサラバンドがツボでした。
さ、そしてタイタニック伝説で有名な、マードックからの手紙。
第一部の〆は、今やもうおなじみの、カントゥス・ソナーレ。最近は中学生も取り上げるなったコンクールの定番曲のひとつです。

さてさて、第二部は、こちらも吹奏楽の演奏会定番のひとつアルヴァマー序曲
そして、「ダニーボーイ」とか「ロンドン・デリー・エア」等の呼び名でも有名な、デリー地方のアイルランド民謡。
本編最後は、天野氏の新曲です。様々な要素が交錯しながら、クライマックスに向かうという、非常に演奏映えのする楽曲という印象ですね。
アンコールでは、まずメリー・ウィドウ・セレクションを演奏。これには少々ビックリ。でも、斬新でユニークな解釈に拍手です。
そしてお別れの儀を挟んで、OGOBを迎えてのサンダーバード
ところで、私がこのバンドの演奏会に何故何度も足を運ぶかというと、このバンドの演奏は内声部の要素が非常に立体的に存在感をもって客席に響いて来るのです。よって、音楽の構成要素が非常にクリアに見えてくるからなんですね。つまり、自分的に新しい発見が多いから・・・・なのだと思います。
そして何よりも、中低音金管の充実したサウンドが支える重厚かつエッジのあるサウンドが、私は非常にお気に入りです。
これは演奏会でも紹介されてましたが、メンバーが10代〜50代まで非常に幅広いからなし得たサウンドなのでしょう。特に中低音金管は、年齢を重ねれば重ねるほど、サウンドに重みが増して来るようですからね。

さ、というわけで、この東京正人吹奏楽団は、新たに東京スタックアート・ウインド・アンサンブルと名前を変えて再出発するそうです。
この素晴らしいサウンドを維持しつつ新たな指揮者の元、新しい音楽の世界を追求し続けて行かれる事を、一ファンとして期待したいと思います。
そして最後まで素敵な笑顔で音楽を奏でられた鈴木正人先生、お疲れさまでした。