東関東吹奏楽コンクール高校の部

東関東吹奏楽コンクール高校の部を聞きに、宇都宮文化会館に行ってきました。

この東関東吹奏楽コンクールの高校の部は今回が実は実質初めての鑑賞となります。
チケットなどとれないものと思っていましたが、運良く手に入れた友人からの誘いで行ってきました。

さてさて、高校の部の最初の団体の演奏がスタートしたと同時に、関東特有の耳当たりの良い、ソフトでありながらきらびやかな輝きを持ったサウンドに嬉しさを感じました。
関東が東西に分かれた理由が、今更ながらわかったような気がします。

さて、今年代表をゲットしたのはおなじみの御三家。

市立習志野高校
かなりの団体を聞いてきてのこのバンドの演奏だったわけですが、音量を出す事と音楽を奏でる事はイコールではないという事を的確に示した12分間でした。課題曲におけるサウンドの安定感とクリアさはお見事でしたし、やはりアナリーゼ力はレベルが高いなあと思った東関東の中でも、抜きんでて秀逸なものを見せていました。自由曲の火の鳥では、サウンドの種類の広さが音楽をより立体的に聞かせるのに成功していました。全国大会に向けて、更にどう進化して行くのか、楽しみです。

市立柏高校
このバンドも、課題曲のアナリーゼが隅々まで行き届いた感じでしたが、最初の主題におけるバランスのとり方は、個人的に少々疑問符でした。トリオ以降の音楽展開は素晴らしかったと思います。自由曲は昨年に続いて邦人作品。今回は攻めの姿勢的選曲で来ましたね。こちらも音楽的な整理の行き届いた、秀演だったと思いますが、楽曲自体の問題なのかどうなのか、やや焦点があやふやな印象をうけたのも事実です。全国大会ではどんな音楽に変身しているのか、楽しみです。

常総学院高校
昨年は苦杯をなめた常総学院ですが、今年選んだ課題曲は5番。各地でこの曲を聞いて、何かすっきりしないものを感じてはいましたが、その疑問を見事に解いてくれたアナリーゼでした。どんなものにも、どこかに解く鍵っていうのはあるものなんですね。自由曲はやや守りに入った選曲でしたが、演奏力の高さはお見事で、昨年の雪辱を果たすことには成功したようです。ただ終始、サウンドに靄がかかったような印象り、また低音部がバランス的に大きすぎるかな、という印象も。全国大会に向けてサウンドのバランスの再考が望まれるかも知れません。

というわけで、ここ東関東大会でも、課題曲のアナリーゼの高さを誇る3団体が代表に選ばれました。
注目されていた市立船橋や幕張総合を始め、上記3団体以外のバンドは、課題曲において楽譜に書かれている事を一通りやった時点で、終わってしまっている・・・・個人的にはそういう印象を持ちました。特に上位団体になると自由曲で大きな差を付けるのは難しく、課題曲への取り組みが明暗を分ける事になったようです。

またそうしたこととは別の意味で印象に残ったのがラストの川崎市立橘高校
別の意味では言っても、指揮者の衣装の事ではありません。今回自由曲ではシュワントナーの新たなる時代への黎明を取り上げましたが、ステージの左から右までいっぱいに広げられたパーカッションが秀逸で、ステレオ効果抜群の音楽を展開していました。パーカッション好きには、至福の時間だったのではないでしょうか。自分もそうです。惜しむらくは課題曲の追求不足と、パーカッションと管楽器のバランスでしょうか。
でもこういう個性的なバンドが評価される土壌というのも素晴らしいと思った次第でした。