2011年九州吹奏楽コンクール高校の部

中学校の部に引き続いて、高校の部を聞きに、長崎ブリックホールに足を運びました。
朝はやや雨が降ったりしていましたが、少しずつ天候は回復。ゲリラ雷雨に見舞われず幸いでした。

25団体の出場校の中、代表権をゲットしたのは、福岡県代表の精華女子高校と、福岡工業大学附属城東高校、そして熊本県代表の玉名女子高校でした。
精華女子高校は、3出による休み明けでの代表獲得。よくアナリーゼされたマーチはならではの完成度。自由曲は宇宙の音楽の再演でしたが、前回よりも奥行きのある色彩を持った演奏でした。更にオーケストレーションが立体的になると、音楽に映像感が加わる事でしょう。
城東高校は、久々の代表復帰。もともと潜在能力の高いバンド、課題曲のマーチは余裕の推進力でしたが、自由曲のダフニスとクロエにおいては、随所にハーモニーのバランスの悪さが見られました。この辺りが修正されれば、朝一番となる普門館特有の気流を凌駕する演奏が出来るのではないかと期待します。
そして玉名女子高校は、持ち前のパワーで2年連続の代表権をゲットしましたが、音楽的には繊細な部分も欲しいところ。普門館では昨年のリベンジがなるか、期待されます。

というわけで、高校の部も中学校と同じように、それぞれの楽器が満遍なく音を出していて、全体のバランスがしっかりとしているバンドが高い評価を得ていました。さすがに高校の部は、演奏技術はどの学校も非常にレベルの高いものを持っていました。
しかし、数年前までは大会の講評などでも、「音量は関係なく、楽器の美しい音色と質の高い音楽を追求する」事がコンクールの命題になっていたように感じましたが、ここ最近の九州支部は、より存在感のある音量を吹ききる、叩ききる団体がより高評価を得ているように感じます。
これが全国大会になると、やはり「音楽」を追求する審査となる為に、そのギャップにある種の違和感を感じるのも事実です。
そういう意味で、今回代表権をえられなかったバンドが、「やはりまずは音量を追求しないと九州では通用しないのか」・・・・と考えてしまう事が高等学校の音楽部のあり方としてどうなのか、個人的には疑問を感じています。また中学校以上に、サウンドとしての個性や、音楽としての個性をバンドに求めてもいいのではないかな、とも思います。

代表になれなかった団体の中では、朝一番の出演ながら、完成度の高いマーチを聞かせた中村学園、銀賞でしたが、自由曲における弱奏の安定感が心地よかった筑紫台高校、課題曲における旋律と対旋律のコラボレーションに美しい個性が感じられた穂高クラリネットの芯の強いサウンドが秀逸だった飯塚高校、圧倒的なオーケストレーションの美しさが会場を魅了した松陽高校、アンサンブル力が高く、バンドとしてのサウンドが更に進化した大島高校、などの演奏が特に印象に残りました。

まだまだ楽器を吹ききるには成長の途上にある高校生達。彼らに必要以上の音量を求めるのではなく、個性ある音楽解釈の楽しさ・・・・「いろんな解釈の音楽があっていいし、その方が音楽する事が楽しくなる」そんなことを奏者達に感じさせるコンクールになると、緊張感や悲壮感も少しは和らぐのかな、そんなことを考えさせられた高校の部でした。
出演者の皆さん、そしてほぼオンタイムで進行を遂行した長崎支部の皆さん、お疲れさまでした。