駒澤大学吹奏楽部第49回定期演奏会

年末の3連休、色々なバンドの定期演奏会を聞きました。一日目は、駒澤大学吹奏楽部。

会場は昭和女子大学人見記念講堂。プログラムは次の通りです。
第一部(指揮:汐澤安彦)
序曲「春の猟犬」(A.リード)
組曲「仮面舞踏会」より、ワルツ/ノクターンマズルカ/ロマンス/ギャロップ
星条旗よ永遠なれ(アンコール)
第二部(指揮:暮林直樹)
パガニーニの主題による幻想変奏曲(J.バーンズ)
交響詩「ローマの祭」より(O.レスピーギ
アンコール(指揮:池上政人)
エル・カミーノ・レアル(A.リード)
ボレロ(M.ラヴェル岩井直溥

まずは1曲目の春の猟犬の冒頭から、凄まじい駒澤サウンドが炸裂。そのアンサンブルの確かさと、リズム感の素晴らしさ。楽曲のグルーヴ感を研究し尽くした再現力はお見事です。
また、この年末年始に行われた日本のトップクラスの大学の演奏会で、凡ミス等が目立った中、ソロ奏者のミスが全ての楽曲の中で殆ど無いというのも、駒澤クォリティなのでしょう。
第一部は、おなじみの汐澤氏による指揮のステージ。アルフレッド・リードの作品は、駒澤サウンドによく合いますね。前後のアグレッシブな展開と中間部の美しいハーモニーとソロ楽器の旋律との対比が極上の世界観を演出していました。
仮面舞踏会も確実な精度の高い演奏力で、安心して音楽を美を委ねることが出来ました。ただ、ところどころで、中低音域の金管楽器が無神経な破裂音を出していたのが、やや興ざめだったでしょうか。
さて、続く第二部は、今年のコンクールの指揮者との組み合わせ。
パガニーニは無難に演奏をこなしてはいましたが、シーンによる音楽の変化も欲しかったところ。淡々とし過ぎていたかなという印象でした。
今年の自由曲だったローマの祭りは、コンクール当時よりも更に精度があがり、アグレッシブな中にも、安定したハーモニーとグルーブ感を持った、好演でした。指揮者と奏者の息を合わせるのはまだまだこれからなのでしょうが、次なるアプローチに期待したいところです。それにしても、本当に細かいフレーズまで完璧に再現する奏者たちの技術力演奏力には脱帽。聞く側のアドレナリンが前回かつ満開となるローマの祭を聞かせてくれました。
そしてアンコール。確か、プログラムには書かれていなかったので、演奏が始まるまでわからなかったのですが、なんと、池上氏を迎えてのエル・カミーノ・レアル。もはやアンコールというよりは第三部という感じですね。にしても、本編を二部終えて、アンコールでも決して落ちない集中力とアグレッシブ度の高さは圧巻。もうイントロの最初の一音でヤラれてしまった感じです。コーラスも入った中間部のハーモニーや旋律も麗しく、後半も全く息切れなど感じさせない、疾走感に溢れたエル・カミでした。
そしてラストは、岩井氏アレンジのホップス系ボレロ。ここでもソロ奏者の完成度は圧巻で、多分アマチュアの大学生のステージでは、ここまで完璧なボレロは聞いたことないかも知れません。というわけで凄まじいまでの集中力の高さと完成度の高さを誇る、コスパの非常に高いコンサートでした。