2014年度福岡支部吹奏楽コンクール

鹿児島に渡る途中、福岡に立ち寄り、2014年度吹奏楽コンクール福岡支部大会を聞いてきました。これは福岡県大会前に行われる、福岡市を拠点とした支部管轄の学校による予選です。
自分にとってもこれが今年最初のコンクール。場所は、例年ならば九州大会が行われる福岡サンパレス
今回は移動の途中という事もあり、午後一番の城東高校まで聞くことが出来ました。まずは、予選通過団体の感想など。

精華女子高等学校
去年から今年にかけて、日本でも最も話題を集めた吹奏楽部でしょうか。課題曲の冒頭から、レンジの広いサウンドが鳴り響きますが、ややサウンドがバラけた感じに聞こえていたのが気になりました。楽曲全体を通しては、よくアナリーゼされた立体的な色彩感豊かな音楽でしたが、連年はもっと締まりのある部分を持ったサウンドだったような気がします。そんな中でも、マーチの16分音符の処理等、随所で精華らしさは健在だったと思います。自由曲においても、もともと弾けまくる楽曲ではあるわけですが、全体的にサウンドの芯がブレていたのと、抑揚の付け方にやや作為的な部分が見られたのは残念でした。しかし、毎年難曲をさらりと聞かせる自力は健在です。

大牟田高等学校
4番に比べると、課題曲2番のマーチは、オーケストレーションが安定しているので、より快晴度の高さが求められるかも知れません。曲全体の流れは、余裕で譜面をさらっている部分もあって、心地よいものが感じられましたが、旋律が随所でブレたり、また終始同じカラーで平面的に音楽が進んでいくのが、勿体ないなという印象でした。トリオ後の部分もバランスのとり方にも細かい配慮が欲しいところです。自由曲のハリソンは、確か2回目でしょうか。音楽の流れや構成をよく把握している好演でした。が、随所でユニゾンにブレや発音ミスが見られたり、細かいパッセージが乱れたりなど、ひとつひとつの音が粗雑に扱われているのでは、という印象でした。しかし、持ち前の重厚なサウンドは健在です。

福岡第一高等学校
課題曲は、人数の少なさを逆手に取った感じで、全体的にスッキリと音楽が組み立てられ、アナリーゼもしっかりと行き届いているという印象でした。ただ、終始サウンドの氷上が変わらないのが、残念だったでしょうか。トリオ後の木管の絡みが更にクリアに聞こえると、音楽に説得力が増した事でしょう。自由曲は、邦人作品で、やや焦点がボヤけた感のある楽曲を選んできましたが、全体を通して、伝えたい部分、訴えたい部分がわからないままに終わってしまったかなという印象でした。音楽をよりクリアに聞かせる、積極的なアナリーゼが施される事を望みたいところです。

福岡工業大学城東高等学校
課題曲冒頭は、木管を主体としているからか、やや焦点がボヤけた印象で、その後のマーチもテンポ設定が早い為に、いわゆるマーチの世界観を聞かせる事が出来なかったようです。トリオのリズムの刻みもより正確に欲しいところ。そんいな中で、トリオ後の演出は見事で、終盤は、このバンドの特徴であるゴージャスなサウンドで心地よく締めくくっていました。自由曲は、このバンドにとっては、技術的に平易な楽曲のためか、余裕をもって音楽を展開していたのが、印象的でした。ただ、終始淡々と音楽が進んでいく感じで、特に前半部分に内包されている緊張感がうまく伝わらず、全体を通して音楽が平面になっていたのは残念だったと思います。

以上が聞いた団体の中で代表になりました。そして惜しくも代表になれなかったものの、金賞を受賞したのが、福岡県立城南高校
全体のサウンドはレンジが広く、ここの生徒達の技術力も高いようです。課題曲は全体を通して、よくアナリーゼしてあり、心地よいマーチを作り上げていましたが、随所で発音ミスが見られたり、また音の処理が粗雑な部分が見られたりしたのが、残念でした。激戦区を抜けるには、更に細かい、音への配慮が求められるところです。自由曲も、音楽の輪郭はしっかりと構築されているのですが、随所が打楽器とのバランスが悪かったり、細かい発音ミスなどが見られたのが残念でした。より丁寧な音楽の積み重ねがもラメられるところでしょう。

というわけで、福岡支部からは以下の9校が県大会に駒を進めました。
精華女子高校 4 華麗なる舞曲
大牟田高校 2 ハリソンの夢
福岡第一高校 2 時に道は美し -愛について-
福工大城東附属城東高校 3 復興
筑紫台高校 4 交響曲第2番「ロマンティック」より 終楽章
九産大附属高校 4 エル・カミーノ・レアル
中村学園女子高校2 歌劇「タイス」より
修猷館高校 2 ファントム・ドゥ・ラムール 〜幻影〜
香住丘高校 4 三つのジャポニスム
9団体って、結構門戸が開かれているような感じもしますが、福岡支部、そして続く福岡県大会はレベルが高く、同じ点に複数校がひしめく事もあるので、見方によっては非常に狭き門。
さ、これに北九州地区代表と筑豊地区代表が加わって、どこが九州大会に駒を進めてくるのか、楽しみにしていたいと思います。