吹奏楽コンクール鹿児島県大会高校の部2日目

昨日に引き続いて、高校の部を聞きに行きました。朝は雨模様でしたが、すぐに止んだようで、良かったですね。
午後からは、緑に染まった桜島の美しい姿をホールから眺めることが出来ました。
鹿児島県大会の出演順は、今年から抽選方法が変わったそうで、これまでのように2日目の後半に有力校が固まるという現象が解消されました。
満遍なく、いろんなブロックでいろんな演奏が聞けるようになった・・・・というわけです。

まずは、代表校の感想を。
鹿児島県立大島高等学校
伸び盛りの高校生にとって経験というものがいかに大切なのかを実感する演奏でした。それぞれの楽器のサウンドは去年以上にクリアで、トウッティも去年の倍近くの音量を持った事で、より音楽に幅が広がったようです。課題曲4番は、冒頭のファンファーレのバランスが素晴らしく、全体的にドライヴ感を持った爽快なマーチでした。終盤のピッコロの生かし方など、他の団体には見られないユニークなアナリーゼを施すなど、一歩も二歩も昨年より進化した演奏を楽しませてもらいました。自由曲のラッキー・ドラゴンも楽曲をよく理解した好演でしたが、トゥッティにおけるハーモニーがよりクリアになると、更に完成形に近づくのではないでしょうか。

続いて、鹿児島県立松陽高等学校
数少ない課題曲2番の登場です。イントロ直後、チューバのバランスにヒヤリとさせられましたが、それ以降は、楽曲を凌駕した快演でした。特に木管の芯のあるユニゾンは秀逸で、楽曲のストーリーを明確に紡いでいく様は圧巻。打楽器、金管楽器とのコラボレーションも、ひとつの絵巻物を見ているかのようでした。自由曲も非常に精度の高い演奏で、目まぐるしく要素が変化していく楽曲を見事に自分たちのものとして演じきっていました。ただ、トゥッティ等における金管楽器、特にトランペットの消極さが課題でしょうか。更にダイナミックレンジの広いサウンドで、この課題曲と自由曲を長崎では聞かせて頂きたいものです。

もうひとつの代表の座は、昨日演奏した鹿屋中央高等学校がゲットしました。久々の代表復活ですね。更にきめ細かなバランス取りを施して、鮮やかなハリソンを長崎の会場でも披露してもらいたいものです。

さて、その他の金賞団体の中から、まずは出水中央高等学校。課題曲の冒頭からややサウンドが開き気味なのが気になりました。しかし、よく鍛えられたハリのあるマーチだったと思います。自由曲は2度目の挑戦?でしょうか。細かいアンサンブルの再現等、非常に高度な技術を感じさせる快演だったと思います。ただ、終盤はやや音量過多になり、本来楽器の持つ美しいサウンドが破綻気味になってしまったのが残念でした。そこまで音量を出そうとしなくても充分なのでは、と個人的には思いますが・・・・。

続いて、神村学園。課題曲は、ややサウンドがこもりがちで、全体的なバランスにも少々問題ありかなという印象でした。トランペットが奏でる旋律等の美しさは秀逸でしたが、最後まで音の霧が晴れる事はありませんでした。自由曲は逆に、そんなサウンドの特徴を行かした名演でした。特にトランペットを中心とした金管楽器の技術力が高く、まるで3D映画を観るかの様に音楽が立体的に紡がれていくのが非常に心地よかったです。

その他、県立鹿屋高校県立甲南高校龍桜高校県立鶴丸高校県立鹿児島南高校が金賞を受賞しましたが、鹿屋高校は昨年よりサウンド音楽ともに安定感を増していましたが、まだ音楽的に粗雑な処理が垣間見られていたのが残念、甲南高校も、昨年よりスキルアップして来ましたが、音楽的にもサウンド的にも更に整理を施してほしいかなという印象、龍桜高校は、共学になってサウンドの幅が広がったのか、非常に安定感のある音楽を聞かせました。鶴丸高校は、奏者は高い技術力を持っていますが、選曲的にやや背伸びをしすぎかなという印象、鹿児島南高校は、力強いトゥッティが気持ちいいサウンドでしたが、更に丁寧な音楽の積み上げが欲しいかな、という感じだったでしょうか。この南高校は、今回最も観客をビックリさせたバンドだったかも知れません。
というわけで、代表の中の県立2校をはじめとして、県立高校の大編成バンドが非常に高い潜在能力を持っているのが頼もしい鹿児島県大会でしたが、その潜在能力を潜在のままで終わらせず、より多くの才能を引っ張りだす先生方の今後の頑張りにも期待したいところです。

さて、岐阜県吹奏楽連盟から送られるおりべ賞は、県立加世田高校のプレイヤーに与えられましたが、これには個人的にも納得です!

全ての演奏修了後、招待演奏となった鹿児島情報高校の演奏が行われました。1曲目がトッカータとフーガニ短調とは心憎い演出。というか、今の時代の生徒さんは、屋比久先生とトッカータとフーガの繋がりを殆ど知らないので、「なんで今この曲を」という思いだったでしょうが、私的には感慨ひとしおでした。しかし、ステージいっぱいの大人数バンドにも関わらず、しっかりと会場に見合った音量を演出するのはさすがです。昨日の演奏よりも会場とのバランスの相性も抜群に良くなってました(エレキベース以外は[笑])。こうした音楽的なセンスは、ともするとトゥッティで会場の許容範囲を超える音量を出してしまいがちなバンドは参考にすべきでしょう。トロンボーンやマンボも楽しかったですが、あの人数でのエルザも、全曲版を聞きたかってですね、個人的には。でも会場の生徒さんたちは、マンボとかの方が楽しかったのかな?来年はどんなサウンドでどんな選曲で復帰して来るのか、本当に楽しみです。

さてさて、2日間鹿児島県大会を聞かせて頂いて、ほぼ進行スケジュール通りの入退場を演出した連盟の関係者スタッフの方々には敬意を表したいと思います。また抽選方法が変わった事で、例年のように2日目の後半客席が大混乱状態にならなかったのも、演奏者にとっても観客にとっても良かったのではないかと思いました。
また年々レベルが高くなる鹿児島県大会。来年は情報高校も復帰します。なんとか代表枠が増える方策(せめて減らないように)というのも、考えて頂きたいものです。
2日間、お疲れさまでした!